【中国時代劇・歴史ドラマ事典】4.項羽と劉邦 King’s War

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ryuho

(簡単なまとめ)
最初は始皇帝パート、項羽パート、劉邦パートがバラバラに並行しながら進んでいきます。
これが秦の将軍章邯が項羽に下り、項羽軍に劉邦が合流し全てがシンクロしていきます。

楚王、韓王、魏王、趙王、斉王などが出てきますがいずれも雑魚。
項羽陣営では范増、劉邦の配下では蕭何と途中から加わる張良、韓信、酈食其、陳平以外は単なる武将で三国志に比べると大きな盛り上がりには欠ける。

最初は弱小だった劉邦が項羽の敵意を上手くそらしながら勢力を拡大していく様が見所。
一番の注目点は劉邦にとって敵の項羽よりも韓信との関係であろう。

貧しい身の上で項羽に取り立てられる事もなく劉邦の元に移り大将軍になって仮の斉王に上り詰めていく立身出世の物語でもあるがそこには中国の歴史で何度も繰り返された
「狡兎死して走狗烹らる」
という運命が待ち構えていた。

(追記:2016/09/28)
また見返しているんですがやはりいいですね。
このドラマはタイトル的にも確かに項羽と劉邦がメインなのですが自分には韓信の物語のようにも思えるんですよね。

チンピラにいちゃもん付けられて股くぐり。
食べる金さえなく施しを受ける身の上に。

項羽軍に入って献策しようとするも全く相手にされず、見切って漢軍に行くがそこでも下っ端の役しか貰えない。
韓信の書いた兵法を読んだ劉邦がやっと感心を持ち始める。

糧秣の差配で功績をあげたものの結局また逃げ出す。
蕭何が追いかけてきて自分が劉邦に推挙するからと言って連れ戻し、「一生責任を持ちます」との説得で大将軍に。
当然、これまでまだ亭長の頃から長く付き従って来た者達は大反発。
でも一つずつ実績を積み重ねて実力を認めさせていく。

せっかく舌先三寸で酈食其が斉70余城を帰順させたのに後から韓信が攻めたので騙したと斉王を怒らせて酈食其は釜茹でに。

その後韓信は劉邦に「仮の斉王になりたい」と申し出る。
当然劉邦は激怒するがまだ項羽と戦ってる最中なので仕方なくこれを認める。

功績は大きかったものの項羽亡き後は最大の脅威と警戒され結局最後も蕭何によって連れ出されて殺される。この最終局面で最初の「一生責任を持ちます」という伏線が回収される。

結局誰も幸せになってないんです。
劉邦ですら呂雉に乗っ取られたようなものですし。

***

大ヒットした名作「三国志 Three Kingdoms」を手掛けたガオ・シーシー監督の作品。
本国でのタイトルは「楚漢伝奇」です。
出演者も三国志に出た役者さんが大量に流用されています。

始皇帝=劉備
胡亥=曹丕
趙高=袁紹
李斯=荀彧

項羽=呂布
虞姫=静姝
項伯=許攸
鐘離昧=姜維
龍且=孫堅

張良=魯粛
樊噲=張飛

呂太公=王允

 

ちょっとカブり過ぎ!

本作で扱ってる時代は秦の始皇帝の時代から二代皇帝胡亥の死、そして項羽率いる楚軍が秦を滅ぼした後、劉邦との戦いで敗れ、漢が全土を統一するまで。

最初は始皇帝サイドの話が中心でのんびりとした感じで話が進みます。
有名な「韓信の股くぐり」のエピソードを経て、鴻門の会あたりから面白くなっていきます。
前半ゆっくりしたテンポだった割には最後は急いで詰め込み過ぎの印象もありますね。

趙高を怪演した許文廣(シュー・ウェングァン)って本当に凄いです。
宦官なのでオカマテイストなのですがあの袁紹役だった人と同一人物だったとは思えない気色悪さ!

その反対に張良はどうしても魯粛にしか見えずあまり天才軍師という感じには思えない。

タイトルは項羽と劉邦ですが影の主役は韓信だと思います。
食べ物を恵んでもらう貧しい境遇から項羽の元に行き、そこでも認めてもらえず劉邦に身を寄せる。

蕭何の口添えで大将軍になって「仮の斉王」まで上り詰めたにも関わらず悲惨な最後を遂げる。

狡兎死して良狗煮られ、高鳥尽きて良弓蔵され、敵国敗れて謀臣亡ぶ。

 

用済みになったら捨てられる部下の悲哀を感じます。

本作で出てくる有名なエピソードと故事

阿呆
馬鹿
焚書坑儒
背水の陣
四面楚歌
将に将たり