【中国時代劇・歴史ドラマ事典】2.三国志 Three Kingdomsと旧三国演義

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TK

(追記:2017/02/26)
このドラマはこれまで観た全ての中でもTOPクラスの作品です。
現代でも通用する人生の教訓になり得るシーンを数多く含んでいて何度観てもその度に新たな発見がある凄い作品です。

それまでの三国志作品と比べるとアレンジや現代的解釈も多いです。
旧三国と呼ばれる「三国演義」と比べても大胆にバッサリカットしているシーンも多い代わりに細かい心理描写に重きを置いています。

95話という途方もない長さではありますが価値ある長さです。
過去の三国志では劉備=善、曹操=悪というポジションで描かれる事が多かったですが、この作品では登場人物の取り扱いがかなり変わっています。

曹操、司馬懿といった魏の人物は評価が上げられています。
劉備に関しては人間臭いダメっぽさが強調されています。
諸葛亮は比較的従来と同じですが、周瑜や魯粛はピエロみたいな扱いです。
関羽、張飛は感情に左右される愚かな人間として描かれており、孫権は理知的な人間とされています。

この長丁場の冒頭はいきなり董卓暗殺シーンから入っていきます。
三兄弟の桃園結義は簡単に済まされてしまいます。
そして曹操の逃走劇、反董卓連合、それから呂布の登場を経て官渡の戦いへ。

そこから三顧の礼で諸葛亮を迎えた劉備の躍進、赤壁。
その後、荊州を巡っての孫劉の攻防。

後半は主役級の人物がどんどん死んでいき、世代交代がテーマになっていきます。

全般を通じて注目すべき人物はまずは曹操。
冷徹ではあるものの人を口説く時には愛嬌もありますし、息子の曹丕とのやり取りは親子関係の参考になると思います。この曹丕役の人は本当に魅力的なキャラクターとして演じています。

次は司馬懿。
正に怪演と言っていい圧倒的な存在感。

人間関係も見所の一つです。
先に述べた曹操と曹丕もそうですが、曹操と袁紹、諸葛亮と周瑜、関羽と曹操、諸葛亮と馬謖、孫権と陸遜、諸葛亮と司馬懿など微妙に揺れ動く関係性が興味深い。

後世に語り継がれる名シーンも見逃せないポイント。
董卓暗殺未遂後、逃走中に起こった曹操の「誤殺」。
劉備による三顧の礼。
泣いて馬謖を斬る。

迫力ある戦闘シーン、謀を巡らせての騙し合い、頭脳戦に重きを置いて描いてるので何度見ても楽しめます。
赤壁で敗れた後の曹操が皆に失敗は良い事だと語り掛けるシーンは個人的に一番のお気に入りです。

敵と味方という単純の構図ではない。
味方同士の争い、敵を取り込んで利用する。
この辺りは現代の組織論でも応用できるでしょう。

最後まで見る事で数多くの学びを得られるでしょう。
そして何度でも見返したくなること請け合いです。

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三国志は中国で何度かドラマ化してるみたいですが、「三国演義」というタイトルで中国中央テレビが100億円以上掛けて製作したものもありますね。

この「三国演義」は全84話ですが総集編全19話という短縮版も用意されています。
でもできれば84話通して見て頂きたいです。

ちょっと映像は古臭く、同じ役者さんが一人二役三役もやったりして微笑ましいです。
でもドラマの諸葛孔明は頼りがいがあって好きです。

ストーリー的にも「三国志演義」に忠実です。

さて「三国演義」が本国で放送されたのが1994年。
それに対して2010年に放送開始されたのが「三国志 Three Kingdoms」(原題:三國)です。

「舌先三寸で王朗を殺すシーン」
元ネタはどちらも「三国演義」なのでセリフもほぼ同じですね。

旧三国演義

新三国志Three Kingdoms

 

従来、三国志と言えば

劉備=善
曹操=悪

の勧善懲悪ドラマに仕立てあげられる事が多かったのですが、このThree Kingdomsでは曹操の多面的な複雑な人間性を丁寧に描いていて非常に魅力的なキャラクターに仕立て上げられています。

お馴染みの董卓暗殺未遂からの呂伯奢の家人誤殺。
陳宮を処刑する際、最後まで翻意させようと努力し、叶わず涙する姿。
赤壁の敗退の後、「失敗は良い事だ」と臣下に語るところなどカリスマを感じさせる。

反面、劉備にしても関羽、張飛などと同様に感情に大きく左右されるあまり理知的とは言えない人物描写になっています。

全95話ですが、前述の「三国演義」みたいに原作を忠実に映像化するのではなく、孟獲の「七縦七檎」という有名なエピソードや数多いマイナーキャラを思い切ってカットする代わりに従来取り上げられる事のなかった曹沖を重要な伏線として利用したり独自解釈が多いのが特徴です。

長丁場なので魅力的な人物が入れ替わり登場します。
まるで人生のバイブルのように沢山の教訓が含まれています。

三顧の礼
水魚の交わり
脾肉の嘆
泣いて馬謖を斬る
白眉

 

三国志由来の言葉も色々あります。

乱世において馬鹿正直では生き残れない。
いかに相手を欺くか?

相手の裏を読むだけでは充分ではない。
相手は裏の裏を読んでるかもしれない。

虚々実々の駆け引きが非常にスリリングです。
もう何度も見てますが飽きることはありません。

ずっとアメリカのドラマが好きで色々見て来ましたが人生に役立つという点においてはこのドラマ以上の作品は世界中探してもあまりないと言えるでしょう。