中国ドラマ・ラブ史劇「于正プロデュース作品」総評

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中国の古装劇(時代劇)を60本程見てきたのでそろそろまたまとめの記事を書こうかと思ったのですが、流石に数が多くて大変なので、今回は人気プロデューサーの于正(ユー・ジョン)さんが手掛けた作品に絞って感想を書いていきたいと思います。

于正(ユー・ジョン)さんの作品は「ハズレがない」です。
どれも一定のクォリティが担保されているので安心して見れます。
しかも画作りが綺麗でどれも花が沢山あり、衣装が素晴らしいです。
そして脚本は凝ってて数多い伏線回収とどんでん返しが楽しい。
自分の制作室を持っていて、大体お馴染みの俳優陣で固められています。

一応中国での放送順に採り上げます。また代表作の一つ「宮 パレス~時をかける宮女~(宮鎖心玉)」シリーズについてはまだほとんど見れてないので割愛しています。

【1】2010年「美人心计」(邦題:「美人心計~一人の妃と二人の皇帝~」)

于正の出世作です。ルビー・リン(林心如)主演。
中国三大悪女の一人、呂雉(呂后)の圧政下で時代に翻弄される姉妹を描いたドラマです。
2010年作ということで、今ではすっかり主役級の俳優・女優陣が大量に脇役で出てきて今では考えられない豪華な布陣となっています。

ルビー・リンは呂后の手先の女スパイといった役どころですが、スピーディーかつ二転三転する怒涛の展開。脚本が素晴らしくドキドキハラハラします。

上手く騙したつもりがお見通しだった・・・という諜報合戦が見どころです。

タイトルに美人と付く割には美人はヤン・ミー位しか見当たりません。
ルオ・チンはこの頃から情けない皇帝役専門みたいな扱いだったんですね。

ストーリーは非常に面白いのでお勧めです。
お勧め度=★★★★

【2】2011年「唐宫美人天下」(邦題:「則天武后~美しき謀りの妃」)

美人シリーズ第二弾。前作に引き続き「中国三大悪女」の則天武后(武則天)を取り上げます。
前作よりもこっちのほうが断然美人の数は多いです。ヤン・ミーは続投です。
則天武后を演じるチャン・ティン(張庭)さんは何故かファン・ビンビン主演の「武則天」にも別の側室役で出ています。

歴史上の人物が出てくるものの史実とはほぼ無関係の完全フィクションです。ミステリー仕立てになっていますが荒唐無稽な話でお気軽なエンターテイメントといったところです。

お勧め度=★★

【3】2012年「美人如画」(原名:倾城雪)(邦題:「傾城の雪」)

元々のタイトルは傾城雪だったはずですが、無理やり美人シリーズに入れたという事でしょうか?
個人的には凄く衝撃的な作品でした。
ドン・ジエ(董洁)演じる主役の女の子は最初、可愛くて陽気なおてんば娘だったのに、相次ぐ不幸の連続でどんどん陰気になっていきます。

この女の子は父親の商売敵の家の息子とは許嫁の間柄なのですが、その妹から勝手に嫉妬されて度重なる嫌がらせ・・といったレベルではなくなってくるのですが・・とにかく壮絶な苦難の道に追いやられるのです。

もう可哀想で可哀想で仕方がない・・一方この許婚の妹が鬼畜過ぎて本当に恐ろしい。
見ていて決して楽しい作品ではないのですが、この衝撃作はぜひ一度は見て欲しいです。

お勧め度=★★★

【4】2012年「美人无泪」(原名:山河恋美人无泪)(邦題:「宮廷の泪・山河の恋」)

元々は「美人心計」「美人天下」と本作を合わせて美人三部作とされていました。
本国では美人天下が2作目ですが日本ではこちらが2作目扱いとされて美人天下が三作目扱いされています。

于正さんは中国では何度か盗作疑惑が持ち上がっています。
本作は大傑作の「宮廷の諍い女」の完コピを目指したかのような作品です。
時代設定も清朝なのは同じですし、宮廷の諍い女が清朝第5代皇帝の雍正帝の時代という設定に対して本作は清朝第2代皇帝のホンタイジの御代という設定になっています。

一人の女を愛する二人の男という主題も同じであれば、ご丁寧にも重要人物である皇后役に同じエイダ・チョイ(蔡少芬)を配するなど、パクる気マンマンです。冬の寒空を軸とした寒々しい荒涼感溢れる画作りといい細部までそっくりです。

でもその類似性さえ気にしなければ、結構面白い作品です。脇役陣がお馴染みの芸達者揃いですし、元が大傑作なのでコピーしたこちらも佳作レベルには到達しています。

前述の一人の女を巡る恋模様といったところだけではなく女同士の嫉妬など宮廷モノではお馴染みのテーマが余すこと無く出てきます。宮廷の諍い女みたいな傑作ではありませんが後宮ものが好きな人には安心してお勧めできるレベルではあります。最終盤だけはちょっと蛇足だとは思いますが。

お勧め度=★★★

【5】2013年「新笑傲江湖」(邦題:「月下の恋歌 笑傲江湖」)

本作は珍しく武侠ドラマですが本格的なモノよりはロマンスに比重が置かれています。
俳優陣は超豪華です。
まだ視聴途中なので終了したら加筆します。

お勧め度=保留

【6】2013年「陆贞传奇」(邦題:「後宮の涙」)

チャオ・リーイン(赵丽颖)主演。個人的にはこの子はあまり良いとは思えません。
タイトルに後宮と付いてますが、よくある女同士の嫉妬によるドロドロモノとは違い、派閥間の権力闘争といった頭脳戦がメインです。チャオ・イーリン演じる陸貞にとっての敵味方が目まぐるしく入れ替わる凝った展開になっています。

ところでヤン・ロン(楊蓉)さんは主役女性に嫉妬する役どころが多いですね。
ストーリーはそれなりに面白いのですが、どうもワクワクしたりドキドキしたりがありません。
多分主役の男女がイマイチだからかもしれません。

お勧め度=★★

【7】2015年「大汉情缘之云中歌」(邦題:「雲中歌~愛を奏でる~」)

アンジェラ・ベイビー(杨颖)主演。
この人確かにお人形さんみたいで可愛いのですが演技は・・
その代わり脇はお馴染みの達者揃いでカバーしてます。
「風中の縁」の続編で設定自体も似ているのですが、あちらはリウ・シーシーが魅力たっぷりでしかも卓越した演技力なのでその差が出てしまいましたか。

「砂漠で出会った少女を探す二人の男」このコンセプトは二作品に共通するものです。
しかも風中の縁に出たフー・ゴー(胡歌)と雲中歌のルー・イー(陸毅)は結構そっくりです。
でも感動の度合いは圧倒的に風中の縁の勝ちですね。脚本の出来と主役女優の演技力の差、あとはエディ・ポン(彭于晏)とドゥ・チュン(杜淳)の表現力の差ですかね。ドゥ・チュンは感情のダイナミックレンジが狭いというか、常に冷静沈着過ぎてあまり感情移入が出来ないんですよね。

ということで全体的にあっさりとした印象になってしまってます。

お勧め度=★★

【8】2015年「班淑传奇」(邦題:「ハンシュク~皇帝の女傅」)

中国のドラマを全く見た事がない人に最初に勧めるならこれにしますね。
貴い身分の子女に学問を教える事になったハンシュクという女性の物語です。

この主役女性が同僚に色々嫌がらせされるのですが、徐々に味方を増やしていきます。
その中でちょっとした人生の教訓みたいな話が毎回出てきて為になります。
あとはお決まりの三角関係。
ハンシュクに一方的な恋心を抱くものの全く相手にされない大将軍。
この大将軍鄧騭を演じてるリー・ジアハン(李佳航) が本当にいい味出してます。

一方、ハンシュクが憧れる衛英は亡くなった元恋人を忘れられずにいるので恋の一方通行が2つという状態。
そこに幼い皇帝に代わり治世を司る皇太后と彼女が愛する双子の兄弟のサイドストーリー。

花が一杯の美しい画作りと感動的なBGM。
いわゆる女学校が舞台なので若い女性が沢山出てきますし、皇太后役の人をはじめ美人が多い。

主人公ハンシュクは毎回毎回試練を与えられるがすぐに誰かに助けられるので見ていてそれほどストレスは溜まらないし、ちゃんと勧善懲悪になるのでスカッとする。

複雑にもつれた恋の糸がほぐれていく様は感動を覚えます。

軽いタッチで明るくカラッとして見やすく、その割にはちゃんと感動も得られる非常にバランスの取れたいい作品です。

お勧め度=★★★★★

***
という事で視聴途中も含めて全8作品を紹介しましたが、
1位「ハンシュク」
2位「美人心計」
3位「傾城の雪」「宮廷の泪・山河の恋」
となりました。

でもこの3作品が気に入ったら他の作品も気に入ると思います。
ぜひ一度見て下さい。

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