(2021/9/22 追記・修正しました)
中国歴史ドラマを沢山見てきましたが、何故か清代を取り上げたものが多いですね。
自分も最初はよくわからず見ていたのですが色々調べながら見てみるとその時代背景からドラマの理解度も深まります。
中国4000年の歴史と言われていますが、数多くの王朝が興っては滅びを繰り返してきました。日本みたいに単一の王朝が2000年も続く方が例外と言えるでしょう。
三皇五帝がいたとされる神話時代から始まり、王朝としては夏〜殷〜周〜春秋戦国〜そして始皇帝による秦が初めて中国全土を統一。
しかしその秦は2代であっけなく滅び、その後、漢があとを継ぎます。漢字、漢民族はここから名付けられました。
漢は一度新に簒奪されたので、前漢〜新〜後漢〜そして日本人に一番人気の三国時代。
以下、晋〜五胡十六国〜南北朝と来て、遣隋使・遣唐使でお馴染みの隋〜唐〜五代十国〜宋、ここでチンギス・カンの孫クビライ(フビライ)率いるモンゴル帝国に全土を征服された王朝が元。
その後、漢民族が取り返したのが明ですが、結局今度は女真族に征服されてしまいます。それが清です。
つまり清というのは漢民族の国ではなく女真族という北方民族による征服王朝なのです。女真族は後に満州族と改めます。清の前は金と号していました。
清のドラマだけは一目見ただけですぐに見分けがつきます。何故なら男性が皆「辮髪」だから。辮髪というのは前頭部は髪を剃って後頭部だけ伸ばして三編みにしています。
昔の日本人はあの髪型を中国人独特のものと思ってラーメンマンという漫画のキャラクターにもなっていますが、漢民族はあんな髪型は元々していなかったのに清王朝に強制されたのです。辮髪を拒否する者は死刑にし「頭を残す者は、髪を残さず。髪を残す者は、頭を残さず」と言われました。
あと清のドラマの特徴としては前述した時代背景から明(漢民族)と清(満州族)の対立が織り込んであります。
そしてもう一つは清が明を倒す際に呉三桂という明の将軍が清に寝返っていてその事で歴史が変わったのでよく登場します。この時寝返った相手が清朝のドラマでお馴染みのドルゴンでした。
清朝の皇族だけではなく反清復明の人物や清朝の重臣オーバイ(オボイと表記されることもある)などは複数のドラマに登場しますので色々見ていく内に覚えていくと思います。
【オススメの観る順番】
こうやって並べてみると中国古装劇歴代TOP5に入る位の作品が4本もあり、正に
「清朝ドラマにハズレなし!」
ですね。
今まで見た清朝ドラマはどれも面白かったです。
よく考えたら他の時代でここまで打率良い時代はないですね。
明とか宋はハズレ多いし三国志関連は当たりかゴミかの両極端。
清朝の次に好きなのは春秋戦国~秦ですかね。
「皇后の記」・「宮廷の泪・山河の恋」→「鹿鼎記」・「龍珠伝 ラストプリンセス」→「宮廷女官 若曦」→「宮廷の諍い女」→「瓔珞<エイラク>」・「如懿伝」
最初の「皇后の記」では初代皇帝ヌルハチから二代ホンタイジ、三代順治帝まで出てきます。最終回では9歳で即位した康熙帝が出て来て、順治帝は出家した事になっています。
そして「鹿鼎記」では四代康煕帝が登場し、民間伝承の三代順治帝は死んでなくて出家した説が取り上げられています。
明と清の板挟みの中で主人公が悩み苦しむというのは「鹿鼎記」・「龍珠伝 ラストプリンセス」両作品で共通するプロットです。
「宮廷女官 若曦」では康煕帝から雍正帝への御代が舞台でこの時の代替わりの陰謀が、「宮廷の諍い女」での雍正帝の苦しみとして表現され、乾隆帝の頃まで描かれます。
それでは清朝が舞台となってるドラマの一覧です。
*初代皇帝ヌルハチは大抵、二代皇帝ホンタイジがメインのドラマの前半に登場します。
・二代皇帝ホンタイジの時代
「宮廷の泪・山河の恋」
この作品は三代皇帝順治帝まで描いてます。
「皇后の記」
冒頭に初代皇帝ヌルハチも出てきます。
この作品にも三代皇帝順治帝フリンが登場。
最終回で幼い康熙帝も少しだけ出てきます。
**三代皇帝順治帝は大抵、二代皇帝ホンタイジのドラマの終盤に登場する事が多いです。
・四代皇帝康煕帝の時代
清朝の歴史において三世の春とも呼ばれている康雍乾盛世の始まりは中国史上最高の名君の一人である康煕帝から始まります。
いずれも主人公が康煕帝と仲良くなる設定ですが、実は明の残党だったりします。
本作は康煕帝〜雍正帝の時代ですが同じタイムスリップモノで現代人が紛れ込む設定まで同じという「宮パレス」シリーズもあります。
このドラマでは康煕帝が崩御した際に第四皇子が遺詔を改竄して本来第十四皇子が継ぐはずだった皇帝の座を横取りしています。その時に隆科多(ロンコド)と年羹堯が第四皇子(後の雍正帝)を支持した為、即位後重用されました。
この辺りを知っておくと「宮廷の諍い女」で年羹堯の妹の華妃が後宮でどれだけの悪行を重ねても叱責されない理由が理解できると思います。何故なら年羹堯がいなければ自分は即位できなかった訳でその妹をないがしろにはできないですからね。
・五代皇帝雍正帝の時代
「宮廷の諍い女」
清は征服王朝故に功を立てた将軍達に配慮せざるを得ず、政略結婚により姻戚関係を結んでいました。そこから数多くの悲劇も起こったのです。
前述の通り、華妃に主人公の甄嬛がどれだけ痛めつけられても皇帝が助けてくれないのは自分を皇帝にしてくれた年羹堯の妹だからなのです。
このドラマは日本人が見ても何故皇帝が華妃に気を遣うのか理解しづらいと思いますので、是非前もって「宮廷女官 若曦」を見るのをオススメします。
・六代皇帝乾隆帝の時代
「瓔珞<エイラク>〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜」
「如懿伝〜紫禁城に散る宿命の王妃〜」
この2作品は同時期に制作されて本国での放送も1ヶ月違い。
しかも登場人物がほとんど同じなのに片方での主役がもう一方では悪役になっているという対照的な作品です。
「如懿伝」は「宮廷の諍い女」の原作者による続編がベースとなっております。