【★★★★】四つ星「優秀作。かなりオススメできる作品」
この四つ星の中には傑作と評してもなんら問題のない作品が多く含まれます。
ただ「何度見ても楽しめるか?」という点で5つ星に及ばなかったものがあります。
その他の点としてはなんらかの惜しい点がある作品が4つ星となっています。
「天龍八部〈新版〉」(原題:天龍八部~The Demi-Gods and Semi Devils)
(コメント)最初は五つ星にしていたのですが、本作は衝撃的な謎の解明というのがいくつかあって初見時の面白さは五つ星レベルなのですが、謎を知ってしまって再視聴する時の面白さが他の五つ星作品よりは劣ると思うので四つ星にしました。
武侠ドラマと言ってもどこからが武侠ドラマと言えるのかよくわかりません。例えば水滸伝って武侠ドラマって言えるのか?とか。それに比べると本作は武侠小説の代表格である金庸原作であるのでこれこそ「武侠」と言えるでしょう。
とにかく登場人物と団体の数が多い。主人公と言える人間ですら4人いますし、場所も広大な中国のあちらこちらに移動します。主人公が4人にそれに絡む主要キャストを交互に描いていく群像劇ですのでまず全容を掴むのが大変です。でも個性的なキャラばかりなので映像ならすぐに覚えられます。
「中国特有の民族問題」「復讐の連鎖」「夢を追い求める事」「恋愛」この辺りがテーマになっています。
ミステリ要素が強く複数の謎が提示されてそれが後半明かされていくという構成です。
中国のドラマを沢山見すぎてもう人が空を飛んだり、衝撃波みたいなのを手から出したりするのが当たり前のように思えてきましたが本作はアクションシーンも見どころの一つです。
後は美女も沢山出てきます。それに対して男はあまりイケメンはいないです。
とにかく坊主が強いです。ある意味ハチャメチャな話なんですが極上のエンタメ作品と言えるでしょう。
ちなみに「鹿鼎記 ロイヤルトランプ」とは監督・制作スタッフ・キャストがかなり被っています。
「燃ゆる呉越」(原題:越王勾践)
(コメント)「呉越同舟」「臥薪嘗胆」といった日本人でも知ってる故事成句の由来がよくわかる作品です。5つ星あげてもいい傑作なんですが越王勾践があまりにも気の毒過ぎて可哀想で見てられません。
恐らくこんな悲惨な目に遭いながらも耐え続ける姿は多くの人の心を打つと思います。そして彼に比べたら自分の不幸なんて大した事ないと思えてきます。
そういう意味で今人生に悩んでる人、疲れてる人、苦労してる人にぜひ見て欲しい作品です。
「ハンシュク~皇帝の女傅」(原題:班淑傳奇)
(コメント)脚本が素晴らしい名作です。
主人公の班淑は宮廷の学徒(生徒)を教える女傅(教師)なのですが、最初は生徒に、次は同僚、そしてその同僚の弟に目の敵にされて次から次へと攻撃され続けます。そこに恋愛が絡むというストーリーなのですが、皇太后が実権を握るのを面白く思わない勢力がまだ幼い皇帝を担ごうとする勢力争いも加わり重層的な面白さがあります。
後はイケメンと美女も多くてビジュアルも綺麗です。
班淑は毎回酷い目に遭うのですが、味方も多くてすぐに勧善懲悪になるので見ていて気が重くなるということもなくこの辺のバランス感覚が非常に素晴らしいと思います。程良いドキドキハラハラ感なんですよね。他のドラマも見習って欲しい位の絶妙のさじ加減。
大将軍が凄くいい奴なんですよね~。
あと皇太后が個人的に凄く美人だと思います。
于正作品はどれも凄く見やすく出来ていますがこれは特にオススメです。
「雲中歌~愛を奏でる~」(原題:大漢情縁之雲中歌)
(コメント)于正作品は本当にどれもクォリティ高くて安心して見れます。
この作品も前半~中盤に掛けて大きく話が動く事がなく本当に面白くなるのか心配でしたが、主要登場人物の性格と関係性を細かく描いた事によって終盤の怒涛の展開により説得力を持たせる事に成功しています。ビジュアルも綺麗で音楽が素晴らしいのは「ハンシュク~皇帝の女傅」と共通しています。
「傾城の雪」(原題:傾城雪)
(コメント)作品の完成度から言うと四つ星あげてもいい。ただこの作品見るだけでメンタルやられます。主人公の天真爛漫だった女の子が不幸に次ぐ不幸に見舞われます。しかもその不幸の原因が本当に鬼畜と思われる一人の人間に依るもの。この鬼が本当に悪魔です。なかなかここまでの極悪キャラはいません。その悪魔に主人公が痛めつけられるのをただ見守らなければならないので非常に辛いです。でもストーリー自体はよく出来ています。複雑な設定を上手く織り込んで常に次回が気になる展開です。悲劇系が好きな人、ドMな人には超オススメです。
「聊斎志異」(原題:聊斎)
(コメント)原作は民間伝承の怪異譚を500本集めたもの。そこから6つの作品を取り上げそれぞれ6話構成で計36話のオムニバス形式となっています。幽霊、妖怪、憑依、生まれ変わり・・など自分が信じてなくて馬鹿らしいと思ってる事柄ばかりなので1話見てつまらなければすぐに視聴を止めるつもりでした。ところが見始めるとどんどん引き込まれてとうとう最後まで。
しかも非常に心に染み入るというんでしょうか、味わい深く何度でも見返したいと思える好作品です。
昔の人の死生観というのが凄くよく分かり、それは恐らく現代人とさほど変わらないんだなと感じました。
妖術を再現するのにVFXやワイヤーアクション満載で映像的にも楽しめますし、オムニバスで俳優陣が入れ替わるので総計では非常に多くの美女が出てきます。一つの話が6話完結というのも見やすくてちょうどいいです。四つ星にしようか迷った位です。(結局三ツ星よりは上と思うので格上げしました)
エンディングテーマ曲が何故か聴いてるだけで泣きそうになる名曲です。
「名家の妻たち」(原題:愛情悠悠藥草香~The War of Beauties.)
(コメント)近代版「宮廷の諍い女」と言えるでしょうか。複雑な伏線を上手く回収する巧みな脚本、そして俳優陣の素晴らしい演技が見所。中盤同じパターンの繰り返しで若干ダレる所もありますが終盤は怒涛の展開。悪には悪なりの論理があるところが単純な勧善懲悪とは違うところ。非常に面白い。