全95話。
日本やアメリカのドラマしか見た事ない人にとっては恐ろしい長さです。
でも主要人物の孫の世代まで描くのにこれ位の尺は必要なのです。
日本人も魏呉蜀の三国は歴史で習います。
三国時代と言いながらその三国の何れも勝者になれない。
正に事実は小説より奇なり。
策謀や人間の嫉妬など人生で誰もがぶつかる壁や落とし穴。
賢者は歴史に学ぶと言いますがここには学ぶべき教訓が沢山あります。
まさに人生のバイブルと言っても過言ではありません。
まだ中国のドラマを見た事がない人には真っ先に見て欲しい作品です。
従来三国志と言えば「正義=劉備」「悪=曹操」みたいに描かれてきた作品が日本でも多かったのですが今作は全ての者にそれぞれ違った理念や考え方、価値観があってそれが行動の差に繋がってるに過ぎないという冷静な視点で誰かに一方的に肩入れすることなく公平に扱われていると思います。
魅力的な登場人物が多く何度でも繰り返し見て楽しめる作品です。
できればブルーレイで観るのをお勧めします。
永久保存版の傑作です。
なおランキングには入ってませんが三国志の主役の一人曹操を描いたドラマ「曹操」をこのドラマの前でも後でもいいので見て頂ければ更に三国志の理解が深まると思います。こちらも地味ですが非常に味わい深い名作です。
第2位「宮廷の諍い女」
http://plus.lastscene.com/archives/6724
恐らくこの上位2作品に関しては今後も不動のような気がします。
それ位この2作は凄い完成度です。
原作はインターネット小説で架空の王朝を舞台にした物語だったのを清王朝の雍正帝の時代の話に置き換えた脚本をベースに作られています。
一言で言えば後宮で起こる血みどろの権力闘争なのですがこの作品は何といっても脚本と演出、そして俳優陣の演技が素晴らしい。
中国では「神劇」と呼ばれてるそうですがそれも頷けます。
普通のドラマでは主要な登場人物には細かい性格設定と演技指導をしますが端役に対しては大抵はおざなり。
ところがこのドラマはメインの妃嬪たちは勿論、彼女達に仕える女官や太監レベルにまで繊細な演出をしている。
だからこのドラマは「誰にフォーカスして観るか?」という視点を変えて何度観ても楽しめるのです。
私はもう6回見ましたがまだ飽きません。
観れば見るほど見落としていた伏線を発見したり「あ、この時の表情はそういう意味だったんだ」というのが解ったりと本当に奥深いドラマです。
神憑り的な演技で華妃という主役の敵を演じる蒋欣さんだけではなくこの作品には下手な俳優は一人もいません。それは先ほど書いたように脇役・端役に至るまでの魂を込めた演技と細かい演出によるものなのです。
地位が盤石ではない雍正帝は軍権を握る年将軍の妹である華妃を優遇せざるを得ない。
しかしそれ故に傲慢になった華妃が主人公の甄嬛を痛めつけるのを完全に阻止する事ができない・・
この辺のジレンマに苦しむ辺りが一筋縄ではいかぬ人生模様をよく表現しています。
最初は純粋無垢だった甄嬛が敵への対抗上、悪賢く立ち回らなければ生き残れない事に気づきどんどん変貌していく様は非常に迫力があります。
人間の本質についてよくわかる正に傑作と言えるでしょう。
第3位「武則天-The Empress-」
第3位は先日日本初放送が終了したばかりの「武則天-The Empress-」です。
http://plus.lastscene.com/archives/8975
今作は中国歴史ドラマをまだ観た事のない人にお勧めです。
理由としては
・56億円の制作費が投じられて豪華なセット・衣装でビジュアル的に優れている。
・有名な実力派俳優を配しているので演技レベルが高い。
・三皇子の争い、後宮内の陰謀など近年ヒットした中国歴史ドラマのエッセンスが集約されている。
以上となります。
逆に言えば既に華流ドラマをいくつも観てる人にはそれ程新鮮味はないかもしれません。
三皇子の争いは「琅琊榜」、後宮内の陰謀は「宮廷の諍い女」を意識しているように見えます。
でも日本人も歴史で学ぶ武則天=則天武后の新しい一面が楽しめるのではないでしょうか?
この唐の時代のドラマを観る前にできれば前の隋から唐への移り変わりを描いた「隋唐演義」を見ればより登場人物の背景や心情がよく理解できると思います。
第4位「燃ゆる呉越」