(下にかなり沢山追記しました)
中国の歴史ドラマではセリフの中に過去の偉人の逸話や名言がよく引用されます。
ですからそのドラマ自体の時代背景だけではなく他の時代も勉強するとより深く理解できます。
一例を挙げますと例えば「宮廷の諍い女」のあるシーン。
果郡王が甄嬛を小舟で送る場面です。
范蠡は西施の恋人だったのに・・・
自ら西施を呉王夫差に献上してしまいました。
なんて薄情な。
誰が西施で、誰が呉王で・・
誰が范蠡なのか・・
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「宮廷の諍い女」は清代のお話です。仮に清の時代の事だけ学んでいてもこの会話についてはピンと来ないでしょう。
西施と范蠡は春秋時代の越の人です。
呉越同舟という言葉がありますが、越は呉に破れたので越王勾践は呉王夫差の厩係になり、当時絶世の美女と言われた西施を呉王に献上することになったのです。
これについては「燃ゆる呉越」を見れば范蠡と西施の出会いから越を救う為に西施に呉王の側室になることを懇願するシーンまで見ることができます。
こういうのを予め知っておくと、冒頭のシーンもすんなり理解することができるのです。
つまり甄嬛を愛していながら雍正帝が彼女を寵愛するのを黙ってみている事しかできない果郡王は自分は范蠡と同じだと言っている訳ですね。
西施と范蠡の話は「三国志Three Kingdoms」でも出てきました。
今見ている「ハンシュク~皇帝の女傅」でも、主人公が歴史を教えてる教師役なので当然いっぱい出てきます。
越王勾践の謀臣が范蠡です。
臥薪嘗胆の臥薪は父を越に殺された呉王夫差が恨みを忘れない為に薪の上で寝た事です。
そして夫差はついに越に勝ちますが、越王勾践の命だけは助けて奴隷としたのです。
その時にいつか復讐を果たす為に勾践は苦い肝を舐め続けたのです。
勾践と范蠡の悲惨な状況は「燃ゆる呉越」を見ればわかります。あまりに気の毒過ぎて見てられない程です。
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こういうのは中国歴史ドラマを見ているとしょっちゅう遭遇します。
「三国志」のドラマで有名な諸葛亮の呉での舌戦シーン。
呉の文官達は孔明を単なる口だけの男と罵っています。
ここで張儀も蘇秦も知らなければよくわからないと思いますが・・
「大秦帝国第二部 縦横」で張儀が主役級で出てくるので彼がいかに舌先三寸だけで戦国時代の秦を列強に押し上げたかがよくわかります。
最近日本でも放送が開始された大秦帝国の第三部「昭王」には蘇秦が登場します。
ちなみに昭王役の人は「三国志Three Kingdoms」で呉王孫権を演じていた役者さんです。
三国志の中ではこういうシーンもあります。
韓信の屈辱って何?と知らない人には全く理解できません。
「項羽と劉邦」を見ればそれが韓信の股くぐりだとわかります。
これを見ておけば・・
おー張良といえば劉邦の軍師か!とわかる訳です。
チンピラに「偉そうに刀なんかぶら下げやがって。俺を斬ってみろ!斬れないなら俺の股の下をくぐれ!」と絡まれた若き日の韓信は大志を胸に秘めていたのでこんな事で人殺しになると目的が果たせなくなると悔しい気持ちをぐっと堪えて大人しく言う通りにしました。その後、韓信は劉邦の元で大将軍になって項羽を倒します。
白起は先程の「大秦帝国第二部 縦横」と「昭王」にも出ています。
このように歴史は繋がっていて中国人は特に過去の偉人を持ち出すのが好きなので色々覚えておくほど理解が深まるのです。
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