宮城谷昌光は私の大好きな中国の偉人を主人公にした小説を数多く書いている作家です。
晏子こと晏嬰は中国史上の偉人の中でも私が最も敬愛する人物です。
いつか改めて記事を書きたいと思っています。
孟嘗君も好きな中国の歴史上の人物TOP5に入る人物です。
当ブログのタイトルも以前は「鶏鳴狗盗」「狡兎三窟」と孟嘗君に因んだ故事成語にしていた位である。
重耳も興味深い人物です。
公子でありながら戦乱を逃れて諸国を彷徨う事19年。
やっと帰国した後に文公となり春秋五覇では桓公に次ぐ地位を占めている。
・・と前置きはこれ位にして。
「湖底の城」はサブタイトルの「呉越春秋」からも分かるように春秋時代の呉越を舞台にした物語である。
単行本は第八巻まで出ているようです。
今回紹介する文庫本は現時点で第六巻まで発売中。
「呉越同舟」という言葉からも分かるように隣国の呉と越は敵国同士であった。
第六巻まで読んだ感想で言うとここまでの主役は伍子胥だ。
呉の隣の大国楚の平王に父と兄を殺され自分だけ逃れてきた。
以後伍子胥は呉を大国に育てあげて楚を滅ぼし平王に復讐する事のみを生きる目的とした。
当然ながら呉が舞台であるという事は呉王闔閭も出てくるし、跡を継ぐ夫差も登場する。
そして忘れてはならない人物、そう孫武である。
孫子の兵法で現代に生きる誰もが知っている彼の最初の晴れ舞台。
そう闔閭の「女官を練兵してみせよ」という無理難題に見事に応えたシーン。
この辺りはドラマでも取り上げられています。
http://plus.lastscene.com/archives/3116
この時に「将、軍に在りては君命も受けざるところあり」と司馬穰苴から引用したのが後世に残る名言となりました。
(*ちなみにこの司馬穰苴という将軍は前述の晏嬰が主君の景公に推挙して採用されたという経緯があります。こういうところも歴史の繋がりを感じますね)
さて第六巻まで読んだ分にはまだ越はほとんど出てきません。
大部分は楚との戦いとなっており、やっと勝ちを収めて復讐できると喜んだのも束の間。
父兄の仇である平王は既に死んでいました。
それでも怒りが収まらない伍子胥は墓から亡骸を掘り返し、死骸に300回も鞭を打った。
ここから「死者に鞭打つ」という言葉が出来たのです。
恐らくこの後から呉越の戦い。
「臥薪嘗胆」に入っていくものと思われます。
越王勾践、范蠡、西施の登場が待ち遠しいです。
この范蠡は私が晏嬰の次に好きな人物です。
彼の残した「蜚鳥尽きて良弓蔵せられ、狡兎死して走狗煮らる」という言葉通りの悲運な最期を迎えた偉人が中国史には非常に多い。後にこの言葉を引いた韓信もそうですよね。
この辺りを描いたドラマ「燃ゆる呉越」も超お勧めです。
http://plus.lastscene.com/archives/3113
この時代は故事成語として色々残っていたり、有名人も沢山登場するので日本人が読んでも楽しめると思います。