2020最新版!中国歴史ドラマを10年見てオススメの作品
PART1からの続きです。
三国志 Three Kingdoms
日本では映画「新解釈・三國志」が公開され、中国でも近年
・「三国志 Secret of Three Kingdoms」(原題:三国機密之潜龍在淵)全54話2018年本国放送
・「三国志〜司馬懿 軍師連盟〜」(原題:大軍師司馬懿)全86話2017年本国放送
といったドラマが放映されています。
しかし、三国機密は漢の献帝である劉協が実は入れ替わりだったという完全なフィクションで三国のうち呉と蜀は完全スルー。
孫権はおろか劉備も出てきません。
軍師連盟の方も主人公は司馬懿とその息子たちであって三国機密同様、劉備・孫権は出てきません。
関羽は生首で登場。郭嘉いきなり危篤。赤壁の戦いもありません。
つまり”三国志”と銘打ってるものの三国志のサイドストーリーとして捉えるべきもので以前に見た「三国志~趙雲伝~」も趙雲を巡るラブストーリーとなっており、三国志の有名なエピソードがたまにおまけとして織り込まれているだけという作品でした。
こういう作品をまだ三国志を知らない人に見て欲しくないのです。
三国志の映像作品としての最高傑作は「三国志 Three Kingdoms」で間違いなしです。
中国では三国志は何度も映像化されており、原作の「三国演義」を忠実に映像化した「旧三国」と呼ばれている作品と比べればこのスリーキングダムもいくつかの有名な三国志のエピソードを割愛し、登場人物も減っています。
それでも主要なエピソードは網羅しており、魏呉蜀のせめぎ合いを主に心理面にフォーカスを当てて丁寧に描いています。
全95話という長さですがいきなり曹操による董卓暗殺未遂から始まります。
黄巾の乱や劉備関羽張飛三兄弟の出会いは飛ばされ桃園の誓いから登場です。
「イントロダクション」にも書きましたがこのドラマが素晴らしいのは人間関係の機微が丁寧に描かれているところです。
・大義を持った人間として助けた曹操が命の恩人の呂伯奢を何のためらいもなく殺すところを見て彼への思いを変えた陳宮。
・呂布と共に捕らえた陳宮を殺す際に涙した曹操。
・関羽を自らの元に引き抜こうとするが結局は叶わなくて落胆する曹操。
・諸葛亮への嫉妬心を隠そうともしない周瑜。
・父を恐れ、弟を脅威に思う曹丕。
これらはほんの一例ですが、人間関係というのは簡単に敵と味方に分けることはできません。
孫権の妹、孫尚香は劉備に嫁ぎますが結局は孫劉連盟の崩壊と共に夫婦の縁も終わります。
歴史上兄弟というのは最大の敵であることが多いです。
曹丕と曹植の七歩の詩のシーンは本作の名場面の一つです。
あと性格が災いするというのも本作で多く描かれるテーマです。
孔明への嫉妬の余り冷静な判断ができなくなる周瑜。
傲慢な関羽、大酒を飲んで部下に暴力を振るった挙げ句、その部下に殺される張飛。
自信過剰が仇になり諸葛亮に処刑される羽目になった馬謖。
理不尽な上下関係もありますね。
最初から最後まで徹底的に上司である孔明から嫌われたままだった魏延。
何の罪もないのに曹操に殺された人多数。
生まれから今まで見てきた中で一番学びが多かった映像作品のなのは間違いないですね。
PART3に続きます・・・