まどかにタイムトラベラーだと打ち明けるほむら。
ほむらのこれまでの努力を水の泡にするまどか。
尤もまどかが魔法少女にならなくても世界は滅亡するし結末はどのみち一緒ですが・・
【12話最終回】
ほむらとまどかはお互いを守ろうとするが故に事態を悪化させてるというジレンマ。
この悪循環を断ち切る為にまどかは「全ての宇宙、過去と未来の魔女を生まれる前に消し去りたい」と願い魔法少女になる。
最終回で初めて主人公の変身シーンが見られるという斬新な構成。
まあこれは割と早い段階から予想できたけど。
悪がなければ正義もない。この2つは合わせ鏡。
一方を根絶すればもう片方も全滅する。
・・と思ってたらまどかが消えた後の魔法少女マミ・ほむら・杏子がいる世界線。
これおかしくない?
まどかが最初からいない世界。
魔女がいない代わりに魔獣がいる世界線・・
ほむらは魔獣と戦い続ける・・
終わり。
後で全体の感想書きます。
【感想-映像編】
まずは何といっても魔女と戦う場面。
切り絵というかコラージュぽい独特の映像。
これは劇団イヌカレーという2人組のアニメーターによって制作されているそうです。
彼らが提示する「魔女」は所謂魔女と言われて想像するような擬人的なキャラクターではなくもっと抽象度の高い化け物みたい容姿で性別も女を感じさせる箇所はない。
その為どこか幻想的というかリアリティーのないシーンとなっている。これは芸術性という点においてはプラスだが戦いの緊迫感という点ではマイナスのように感じる。
でもそもそも現実離れしたプロットのSFファンタジーであり、リアリティに拘る必要もなかったのかなとも思う。
次にキャラクターデザインだが蒼樹うめ原案によるメインキャラクター達の顔は極端にデフォルメされ最近の綺麗なキャラデに慣れた目から見るとちょっと違和感を感じるし、あまり愛着を覚えるものでもない。ただこの作品自体には前述の魔女との戦いのシーンも含めて現実離れした作風なのでマッチはしていると感じる。
【感想-ストーリー編】
本作の設定の中核になるのは
「魔法少女が魔女になる」
という所だと思ってる。
寡聞にして他に同じ設定の作品があったのかは知らない。
恐らくはなかったのだろうと推察するが、ここが非常に肝になっていると思う。こういう設定は一度しか使えないので作り手はしてやったりの気分だろう。
本作は「魔法少女モノ」という外面をしているが従来の同種作品のテンプレを徹底的に覆しており視聴者を裏切る事に精力を注いでいるのがよくわかる。
まずタイトルで主役は「魔法少女まどか」だと言いながら肝心の主役がなかなか魔法少女にならない。恐らく視聴者は中盤から「これはまどかを魔法少女にさせない物語なのか?」と訝がった事だろう。
次に重要キャラクターが序盤にいきなり死ぬ。
この辺は視聴者にショックを与える事だけを目的に確信犯的にやられてるに違いない。この事で視聴者に従来の魔法少女とは一線を画した作品なのだと理解させようとしたのだ。
そして本作のテーマは
「正と邪は切っても切り離す事ができない」
ということなんだと思う。
正義を行うはずの魔法少女が魔女となり悪行三昧をしてしまう。
この理不尽な現実を目の当たりにしたまどかはこの世界から魔女を消滅させる事を願い事として魔法少女となる。しかしその先にあったのは確かに魔女は消滅したがその代わりに魔獣という新たな悪を為す存在が現れただけ。
結局は正義だけが存在し邪悪なものが存在しない世界などあり得ない。何故なら正義も悪も主観的な問題に過ぎず自分は皆正義だと思っても他者から見たら悪に見えたりするだけの事だからだ。
キュゥべえの例え話は非常に的を射ている。
人間は自分達を正しい存在だと見做しているが牛・豚・鶏・魚など非常に多くの生物を食料とする為に殺している。もしこれら家畜の視点から見れば人間など悪魔のような存在でしかない。人間はそれを正当化して自身が悪行を日々行ってるなどとは微塵も感じていない。
だからこの世界には正と邪は表裏一体であり決して切り離せないものなのだ。だから魔法少女は永遠に戦い続けなければならない。その悲哀を描いたのが本作なのだ。
本作はそのプロットにおいてタイムトラベラーという存在を活用している。ほむらはかつてまどかに助けてもらった。そしてまどかの悲劇的な結末を知っている。故に時間軸を移動できる彼女は何度でもまどかを魔法少女にさせない為に奔走する。
本作の真の主人公はほむらだと思うが彼女の目的や願いが果たされる事はないだろう。そして地獄の業火で永遠に焼かれ続けるように彼女は永遠に戦い続けなければならない。その悲劇性こそが本作で一番訴えたかった事のように感じた。
この作品はアニメという枠を超えて評価されるべき作品だと思います。
リアルタイムで見れなかったのが残念です。