私は儒教や論語が嫌いです。
その対極にあるとも言える韓非子こそ読む価値があるものだと思う。
韓非は荀子に学んだとされる。
荀子と言えば性悪説である。
韓非は商鞅と共に法家の人である。
綺麗事が多い孔子の教えとは逆に冷徹な人間の本質に基づく法による統治を説いている。
馬車職人は「多くの人が出世して豊かになる」事を願い、棺桶職人は「多くの人が早死にする」事を願う。
しかしこれは馬車職人が善人で棺桶職人が悪人と言う訳ではない。
皆、自分の利益を求めているだけなのだ。
君主の夫人が自分の息子が跡継ぎになることを確実にするために、君主が早く死ぬ事を願うのも自分の地位を確固としたものにしたいが故である。
人間とは皆自分の利益を追い求めてその為には悪も成す生き物なのである。
その事をよく理解した上で人間関係に留意すれば陥れられる心配もない。
それには本書が良い教えとなるだろう。